日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


聖愚問答抄(下) 22 第21章 法華の得益を示し、捨邪帰正を勧む

【抑〔そもそも〕今の法華経を説かるゝ時益〔やく〕をうる輩、】
そもそも、今の法華経が説かれた時、利益を受けた者の中に二乗がいたのです。

【迹門界如三千の時】
迹門の百界千如、一念三千が明かされた時に、

【敗種〔はいしゅ〕の二乗仏種を萌〔きざ〕す。】
二乗の死に絶えた仏種は、蘇〔よみがえ〕ったのです。

【四十二年の間は永〔よう〕不成仏と嫌〔きら〕はれて、】
四十二年の間は、ながく不成仏と嫌われて、

【在々処々の集会にして罵詈〔めり〕誹謗〔ひぼう〕の音〔こえ〕をのみ聞き、】
あらゆる集会で罵詈雑言の誹謗の声を聞き、

【人天大会に思ひうと〔疎〕まれて既に飢え死ぬべかりし人々も、】
人界や天界の衆生に疎まれて、既に飢え死にするばかりであった二乗の人々も、

【今の経に来たって舎利弗は華光〔けこう〕如来〔にょらい〕、】
この法華経に来て、舎利弗は、華光如来に

【目連は多摩羅跋栴檀香〔たまらばつせんだんこう〕如来、】
目連は、多摩羅跋旃檀香如来に、

【阿難は山海慧〔せんかいえ〕自在通王仏、】
阿難は、山海慧自在通王仏に

【羅睺羅〔らごら〕は踏〔とう〕七宝華如来、五百の羅漢は普明如来、】
羅睺羅は、踏七宝華如来に、五百の羅漢は、普明如来に

【二千の声聞は宝相如来の記□〔きべつ〕に予〔あずか〕る。】
二千の声聞は、宝相如来の記別を受けたのです。

【顕本遠寿〔おんじゅ〕の日は微塵数の菩薩、】
本門で顕本遠寿が明かされた時には、無数の菩薩が、

【増道損生して位〔くらい〕大覚に隣〔とな〕る。】
悟りを深めて等覚の位に登ったのです。

【されば天台大師の釈を披見〔ひけん〕するに、】
それゆえ天台大師の解釈書を閲覧〔えつらん〕すると、

【他経には菩薩は仏になると云ひて、二乗の得道は永く之無し。】
「他経には、菩薩は、仏になると説いて、二乗の得道は、永遠にない。

【善人は仏になると云ひて悪人の成仏を明かさず、】
善人は、仏になると説いて、悪人の成仏は、明かされていない。

【男子は仏になると説いて女人は地獄の使ひと定む。】
男子は、仏になると説いて、女人は、地獄の使いと定められている。

【人天は仏になると云ひて畜類は仏になるといはず。】
人天は、仏になると説いて、畜類は、仏になるとは説かれていない。

【然るを今の経は是等が皆仏になると説く、たのもしきかな。】
ところが法華経は、これらが皆、仏になると説く」とあり、実に嬉しいことです。

【末代濁世〔じょくせ〕に生を受くといへども】
末代濁世に生を受けたけれども、

【提婆が如くに五逆をも造らず三逆をも犯さず。】
提婆達多のように五逆罪に陥ることもなく、三逆罪も犯かしていないのですが、

【而るに提婆猶〔なお〕天王如来の記□〔きべつ〕を得たり。】
それを犯した提婆達多でさえ、なお天王如来の記別を得たのです。

【況んや犯さゞる我等が身をや。】
まして犯さない我等の成仏は、疑いないのです。

【八歳の竜女既に蛇身を改めずして南方に妙果を証す。】
八歳の竜女は、すでに蛇身を改めず、南方において成仏の妙果を証明しました。

【況んや人界に生を受けたる女人をや。】
まして人界に生を受けた女人の成仏は、間違いないことなのです。

【只得難きは人身、値〔あ〕ひ難きは正法なり。】
ただ得難いのは、人身であり、会い難いのは、正法なのです。

【汝早く邪を翻〔ひるがえ〕し正に付き、】
あなたも早く邪法への信仰を改めて正法に付き、

【凡を転じて聖を証せんと思はゞ、】
凡夫を転じて成仏の聖果を証明したいと思うのであれば、

【念仏・真言・禅・律を捨てゝ此の一乗妙典を受持すべし。】
念仏、真言、禅、律を捨てて、この一乗妙典である法華経を受持すべきです。

【若し爾らば妄染の塵穢〔じんえ〕を払ひて、】
もしそうであるならば、妄想に染められた生命の、穢れた塵を払って、

【清浄の覚体を証せん事、疑ひなかるべし。】
清浄の覚体を得ることは、疑いないのです。


ページのトップへ戻る