日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


聖愚問答抄(下) 38 第37章 不退転の信心を勧める

【愚人頭を低〔た〕れ手を挙げて云はく、】
愚者は、頭を垂れ、掌を合わせて、このように告げたのです。

【我今よりは一実の経王を受持し、】
私は、今よりは、一実の経王を受持し、

【三界の独尊を本師として、今身より仏身に至るまで】
三界独尊の釈尊を本師として、現在の凡夫の身から仏身を成就するまで、

【此の信心敢へて退転すること無けん。】
この信心を続け、けっして退転することはありません。

【設ひ五逆の雲厚くとも、乞ふ、提婆達多が成仏を続〔つ〕ぎ、】
たとえ、五逆罪を犯した罪は、重いとしても、提婆達多の成仏のあとを継ぎ、

【十悪の波あらくとも、】
十悪の罪の波は、荒くとも、

【願はくは王子覆講〔ふっこう〕の結縁に同じからん。】
十六王子の講を聞いた大通結縁の衆生のように、法華経に結縁したいと思います。

【聖人云はく、】
その言葉に聖人は、このように告げました。

【人の心は水の器にしたがふが如く、】
人の心は、水が器の形で変わるようなものであり、

【物の性は月の波に動くに似たり。】
物の性質は、池に映った月影が波によって動くのと似ています。

【故に汝当座は信ずといふとも】
ゆえに、あなたが、しばらくの間は、信じるとしても、

【後日は必ず翻〔ひるが〕へさん。】
後日になって、心をひるがえすこともあるでしょう。

【魔来たり鬼来たるとも騒乱〔そうらん〕する事なかれ。】
しかし、魔が来ても鬼が来ても、けっして心を乱してはいけません。

【夫〔それ〕天魔は仏法をにくむ、外道は内道をきらふ。】
天魔は、仏法を憎み、外道は、内道を嫌うのです。

【されば猪の金山〔こんぜん〕を摺〔す〕り、】
それゆえ、猪が金山を擦〔こす〕っても、返って金山が光を増すように、

【衆流〔しゅる〕の海に入り、】
また、河の水が、すべて大海に入っても、大海は、それを包み込むように、

【薪〔たきぎ〕の火を盛んになし、風の求羅〔ぐら〕をま〔増〕すが如くせば、】
薪〔まき〕が火を盛んにし、風が求羅と言う虫を、ますます成長させるように、

【豈〔あに〕好〔よ〕き事にあらずや。】
ますます信心を強盛にするならば、実に素晴らしいことではないでしょうか。


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