日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


聖愚問答抄(下) 28 第27章 愚人・法華経修行のあり方を問う

【爰に愚人席をさ〔去〕り袂〔たもと〕をか〔掻〕いつくろ〔繕〕ひて云はく、】
このとき愚者は、ひざまずいて襟を正し、このように告げたのです。

【誠に聖教の理をき〔聞〕くに、】
誠に仏教の道理を聞くと、

【人身は得難く、天上の糸筋の海底の針に貫けるよりも希に、】
人間に生まれることは、天上から垂れた糸を海底の針の穴に通すよりも稀であり、

【仏法は聞き難くして、一眼の亀の浮木に遇ふよりも難し。】
仏法を聞くことは、一眼の亀が浮木に出遇うよりも難しいと思います。

【今既に得難き人界に生をうけ、値ひ難き仏教を見聞しつ、】
今すでに得難い人界に生まれ、会い難い仏教を拝聴しました。

【今生をもだ〔黙止〕しては又何れの世にか生死を離れ】
それにも関わらず、今生を空しく過ごしたならば、また、いつの世に生死を離れ、

【菩提を証すべき。】
菩提を証得することができるでしょうか。

【夫〔それ〕一劫受生の骨は山よりも高けれども、】
一劫の間に多くの生を受け、その遺骸の骨は、山よりも高いけれども、

【仏法の為にはいまだ一骨をもす〔捨〕てず。】
仏法の為には、まだ一骨も捨てては、いないのです。

【多生恩愛の涙は海よりも深けれども、】
何度も生まれ来て、恩や愛によって流す涙は、海よりも深いけれども、

【尚後世の為には一滴をも落さず。】
これまでに後世の為には、一滴も落としては、いないのです。

【拙〔つたな〕きが中に拙く愚かなるが中に愚かなり。】
実に拙さ中の拙さであり、愚かの中でも愚かであるのです。

【設ひ命をすて身をやぶるとも、生を軽くして仏道に入り、】
たとい身命を捨ててでも、今世の生を軽くみて仏道に入り、

【父母の菩提を資〔たす〕け、愚身が獄縛〔ごくばく〕をも免るべし。】
父母の菩提を助け、我が身の地獄の苦しみも、まぬがれようと思います。

【能〔よ〕く能く教を示し給え。】
その為にも、よくよく教えを示して頂きたいものです。

【抑〔そもそも〕法華経を信ずる其の行相如何。】
いったい、法華経を信ずるとは、どのように振る舞えばよいのでしょうか。

【五種の行の中には】
受持、読、誦、解説、書写の五種の妙行の中では、

【先づ何れの行をか修すべき。丁寧に尊教を聞かんことを願ふ。】
まず、どの修行を行えばよいのでしょうか。詳しく、御聞かせ願いたいものです。


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