日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


守護国家論 17 第16章 謗法者対治の証文

【第二に正しく謗法の人の王地に処するを対治すべき証文を出ださば、】
第2項に、謗法の人が国土を支配するのを対治すべき証拠を経文で明確にします。

【涅槃経第三に云はく「懈怠〔けだい〕にして戒を破し正法を毀〔そし〕る者をば】
涅槃経第3巻に「仏道修行を怠って、戒を破り、正法を謗〔そし〕る者を、

【王者・大臣・四部の衆、当〔まさ〕に苦治〔くじ〕すべし。】
国王、大臣、僧侶、尼僧、男性信者、女性信者は、厳〔きび〕しく対治すべし。

【善男子是の諸の国王及び四部の衆は当に罪有りや不〔いな〕や。】
善男子、この国王、大臣、僧侶、尼僧、男性信者、女性信者は、罪が有るだろうか。

【不なり、世尊。善男子是の諸の国王及び四部の衆は】
世尊、罪は、ありません。この国王、大臣、僧侶、尼僧、男性信者、女性信者に、

【尚罪有ること無し」と。又第十二に云はく】
罪が有ると言う事は無い」とあるのです。また涅槃経、第12巻に

【「我往昔〔むかし〕を念〔おも〕ふに、閻浮提〔えんぶだい〕に於て】
「我は、過去世を思うに閻浮提において

【大国の王と作りて名を仙予〔せんよ〕と曰〔い〕ひき。】
大国の王となり、名を仙予〔せんよ〕と言った。

【大乗経典を愛念し敬重し、其の心純善にして】
大乗経典を愛し、敬い重んじ、その心は、純粋にして善であって、

【麁悪〔そあく〕・嫉悋〔しつりん〕有ること無かりき。乃至】
粗悪、嫉妬、物惜しみは、なかったのである。(中略)

【善男子、我爾〔そ〕の時に於て心に大乗を重んず。】
善男子、我は、その時において、心で大乗を重んじていた。

【婆羅門〔ばらもん〕の方等を誹謗するを聞き、】
婆羅門が方等を誹謗するのを聞き、

【聞き已〔お〕はりて即時に其の命根を断じき。】
それを聞き終わって即時にその命の根を断った。

【善男子是の因縁を以て是より已来地獄に堕せず」(已上)。】
善男子、この因縁をもって、それ以来、地獄に堕ちず」とあるのです。

【問うて云はく、梵網〔ぼんもう〕経の文を見るに比丘等の四衆を誹謗するは】
それでは、梵網〔ぼんもう〕経の文章を見ると、僧侶など四衆を誹謗することは

【波羅夷罪〔はらいざい〕なり。】
教団を追放されるに値する最も重い罪、波羅夷罪〔はらいざい〕であり、

【而るに源空〔げんくう〕が謗法の失を顕はすは】
それゆえに法然房源空の謗法を露わにする事は、

【豈阿鼻の業に非ずや。】
阿鼻地獄の業因になるのではないでしょうか。

【答へて云はく、涅槃経の文に云はく】
それは、涅槃経の文章に

【「迦葉〔かしょう〕菩薩世尊に言〔もう〕さく、】
「迦葉〔かしょう〕菩薩が世尊に言った。

【如来何が故ぞ彼当に阿鼻地獄に堕すべしと記するや。】
如来、何が故に、彼が阿鼻地獄に堕ちるであろうと予言されたのか。

【善男子善星比丘は多く眷属有り。】
善男子、善星〔ぜんしょう〕比丘には、多くの弟子がおり、

【皆善星〔ぜんしょう〕は是阿羅漢〔あらかん〕なり】
これらの弟子たち、すべてが、善星〔ぜんしょう〕は、阿羅漢であり、

【是道果を得しと謂〔おも〕へり。】
悟りを得たと思っていた。

【我彼が悪邪の心を壊〔やぶ〕らんと欲するが故に、彼の善星は】
世尊は、彼らの邪悪な心を壊〔やぶ〕る為に、善星〔ぜんしょう〕は、

【放逸〔ほういつ〕を以ての故に地獄に堕せりと記す」(已上)。】
放逸〔ほういつ〕の罪によって地獄に堕ちると記〔しる〕す」とあります。

【此の文に放逸とは謗法の名なり。】
この文章にある放逸とは、謗法のひとつの名称です。

【源空も亦彼の善星の如く、謗法を以ての故に】
法然房源空も、また、この善星〔ぜんしょう〕比丘のように謗法のために、

【無間〔むけん〕に堕すべし。】
無間地獄に堕ちるべきです。

【所化の衆此の邪義を知らざるが故に】
法然房源空の弟子たちは、法然の邪義を知らないために、

【源空を以て一切〔いっさい〕智人〔ちにん〕と号し、】
法然房源空を一切〔いっさい〕智人〔ちにん〕と称し、

【或は勢至菩薩或は善導の化身〔けしん〕なりと云ふ。】
あるいは、勢至菩薩、または、善導〔ぜんどう〕和尚の化身であると言うのですが、

【彼が悪邪の心を壊らんが為の故に謗法の根源を顕はす。】
彼らの邪悪な心を壊〔やぶ〕るために、ここに謗法の根源を明確にしたのです。

【梵網経の説は謗法の者の外の】
梵網〔ぼんもう〕経の対象は、法然房源空やその弟子である謗法の者を除く

【四衆なり。】
僧侶、尼僧、男性信者、女性信者の四衆を指しているのです。

【仏誡めて云はく「謗法の人を見て其の失を顕はさゞれば】
仏は「謗法の人を見て、その罪を指摘しなければ、

【仏弟子に非ず」と。】
仏弟子に非ず」と誡〔いまし〕めています。

【故に涅槃経に云はく「我涅槃の後其の方面に随ひ持戒の比丘有りて】
ゆえに涅槃経には「我が入滅の後、その地方の常識によって、戒を持つ僧がいて、

【威儀〔いぎ〕具足し正法を護持せば、法を壊る者を見て即ち能〔よ〕く】
威儀を備え、正法を護持するならば、正法を破壊する者を直ちに、

【駈遣〔くけん〕し呵責〔かしゃく〕し徴治〔ちょうじ〕せよ。当に知るべし、】
追放し、呵責〔かしゃく〕し、懲〔こ〕らしめよ。まさに知るべし、

【是の人は福を得んこと無量にして称計〔しょうけい〕すべからず」と。】
この人は、福徳を得ること無量であって計り知れない」とあります。

【亦云はく「若し善比丘有って法を壊る者を見て置いて呵責し駈遣し】
また「もし、善い僧がいて、正法を破壊する者を見て呵責〔かしゃく〕し、

【挙処〔こしょ〕せずんば、】
追放し、罪過を挙げ、処断しなければ、

【当に知るべし、是の人は仏法の中の怨なり。】
まさに知りなさい。この人は、仏法の中の怨〔あだ〕である。

【若し能く駈遣し呵責し挙処せば】
もし、追放し、呵責〔かしゃく〕し、罪を挙げ、処断するならば、

【是我が弟子真の声聞なり」(已上)。】
この人は、我が弟子であり、真の声聞なり」とあります。

【予仏弟子の一分に入らんが為に此の書を造り】
私は、仏弟子の一人に入る為に、この書を作り著し、

【謗法の失を顕はし世間に流布す。】
謗法の罪を明らかにして、世間に流布しようとしているのです。

【願はくは十方の仏陀此の書に於て力を副〔そ〕へ大悪法の流布を止〔とど〕め】
願わくは、十方の仏陀、この書に力を添え、大悪法の流布を止め、

【一切衆生の謗法を救はしめ給へ。】
一切衆生の謗法の罪を救って頂きたいと思います。


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