日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


守護国家論 19 第18章 悪知識の選択集

【第二に受け難き人身を受け値ひ難き仏法に値ふと雖も】
第2項に、生まれ難い人間に生まれ、会い難い仏法にあっても、

【悪知識に値ふが故に三悪道に堕することを明かさば、】
悪知識にあった為に地獄、餓鬼、畜生の三悪道に堕ちることを明確にします。

【仏蔵経に云はく「大荘厳仏〔だいしょうごんぶつ〕の滅後に】
仏蔵経、第3巻、往古品に「大荘厳仏〔だいしょうごんぶつ〕の滅後に

【五比丘あり。一人は正道を知って多億の人を度し、】
五人の僧侶がいた。そのうちの一人は、正しい仏道を知って多くの人を救い、

【四人は邪見に住す。】
苦岸〔くがん〕比丘などの四人は、邪見に陥〔おちい〕っていた。

【此の四人命終〔みょうじゅう〕して後阿鼻地獄に堕つ。】
この四人は、死んだ後、無間地獄に堕ちて、

【仰ぎ臥〔ふ〕し伏〔うつぶ〕せに臥し左脇〔さきょう〕に臥し】
仰向けになり、うつ伏せになり、左向きになり、

【右脇〔うきょう〕に臥すこと各九百万億歳なり。乃至】
右向きになって、各自が900万億歳の極めて長大な時間、苦悩し、(中略)

【若しは在家出家の此の人に親近〔しんごん〕せしもの、】
在家、出家で、この四人に親しみ近づいた者、

【並びに諸の檀越〔だんのつ〕凡〔およ〕そ六百四万億人あり。】
ならびに多くの信者、およそ604万億人たちは、

【此の四師と倶〔とも〕に生じ倶に死して、】
これらの四人の師と、ともに生まれ、ともに死んで、

【大地獄に在って諸の焼煮〔しょうしゃ〕を受く。】
大地獄に堕ちて、様々に焼かれ、煮られる苦悩を受けた。

【大劫若し尽きぬれば是の四悪人及び六百四万億の人】
大劫と言う非常に長い期間が尽きると、この四人の悪人と604万億の人々は

【此の阿鼻地獄より他方の大地獄の中に転生〔てんしょう〕す」(已上)。】
「この無間地獄から、さらに他の大地獄の中に転じ生まれた」とあるのです。

【涅槃経三十三に云はく「爾〔そ〕の時に城中に一の尼乾〔にけん〕有り。】
涅槃経、第33巻の迦葉菩薩品には「その時に城の中に一人のジャイナ教徒がいた。

【名を苦得〔くとく〕と曰ふ。乃至】
その名を苦得〔くとく〕と言う。(中略)彼を真の阿羅漢〔あらかん〕と深く敬う

【善星、苦得に問ふ。答へて曰く、】
善星〔ぜんしょう〕が、苦得〔くとく〕に質問し、この者が答えて言った。

【我食吐鬼〔じきとき〕の身を得。】
我は、釈尊が予言したように餓鬼の食吐鬼〔じきとき〕の身となってしまった。

【善星諦〔あきら〕かに聞け。乃至】
善星〔ぜんしょう〕、あきらかに聞け。仏の言葉は、正しいのである。(中略)

【爾の時に善星即ち我が所〔もと〕に還って是くの如き言を作す、】
その時に善星〔ぜんしょう〕は、釈尊の所に戻って来て、このように言った。

【世尊、苦得尼乾は命終の後に三十三天に生ぜんと。乃至】
世尊、ジャイナ教徒、苦得〔くとく〕は、死後に三十三天に生まれたと。(中略)

【爾の時に如来即ち迦葉〔かしょう〕と善星の所〔もと〕に往きたまふ。】
その時に如来は、迦葉〔かしょう〕とともに善星〔ぜんしょう〕の所に行かれた。

【善星比丘遥かに我来たるを見、】
善星〔ぜんしょう〕は、遥かに釈尊が来るのを見て、嘘がばれたと慌〔あわ〕て、

【見已〔お〕はって即ち悪邪の心を生ず。】
見終わって、世尊の言葉は、すべて不信であると邪〔よこしま〕な心を起こし、

【悪心を以ての故に生身に陥〔お〕ち入って阿鼻地獄に堕す」(已上)。】
その悪心によって、生きながら無間地獄に堕ちた」とあるのです。

【善星比丘は仏の菩薩たりし時の子〔みこ〕なり。】
善星〔ぜんしょう〕比丘は、仏が菩薩であった時の子供なのです。

【仏に随ひ奉り出家して十二部経を受け、】
仏に従って出家して十二部経を学び、

【欲界の煩悩〔ぼんのう〕を壊〔やぶ〕りて四禅定〔ぜんじょう〕を獲得せり。】
欲界の煩悩を滅して四禅定を獲得しました。

【然りと雖も悪知識たる苦得外道に値〔あ〕ひ、】
しかし、悪知識である外道の苦得〔くとく〕に会い、

【仏法の正義を信ぜざるに依って出家の受戒・十二部経の功徳を失ひ、】
仏法の正義を信じなかったために、出家の受戒と十二部経の功徳を失い、

【生身に阿鼻地獄に堕す。】
生きながら無間地獄に堕ちたのです。

【苦岸〔くがん〕等の四比丘に親近〔しんごん〕せし六百四万億の人は】
苦岸〔くがん〕比丘などの四人の僧侶に親しみ近づいた604万億の人々は

【四師と倶に十方の大阿鼻地獄を経〔へ〕しなり。】
この四人の悪師とともに、十方世界の大阿鼻地獄を巡ったのです。

【今の世の道俗は選択集を貴ぶが故に、】
今の世の出家、在家は、選択集〔せんちゃくしゅう〕を尊重するあまり、

【源空の影像を拝して一切経難行の邪義を読む。】
法然房源空の影像を拝んで、一切経は、難行であるとの邪義を読んでいるのです。

【例せば尼乾〔にけん〕の所化の弟子が尼乾の遺骨を礼〔らい〕して】
例えば、ジャイナ教に感化された弟子が、ジャイナ教の遺骨を讃嘆して、

【三悪道に堕せしが如し。】
地獄、餓鬼、畜生の三悪道に堕ちたようなものなのです。

【願はくは今の世の道俗選択集の邪正を知りて】
願うことは、今の世の出家、在家が選択集〔せんちゃくしゅう〕の正邪を知って

【後に供養恭敬〔くぎょう〕を致せ。】
その後に、正法に供養、恭敬〔くぎょう〕するべきです。

【爾〔しか〕らずんば定めて後悔有らん。故に涅槃経に云はく】
そうしなければ、必ず後悔するでしょう。それゆえに涅槃経に

【「菩薩摩訶薩〔まかさつ〕悪象等に於ては心に怖畏〔ふい〕すること無かれ。】
「菩薩摩訶薩〔まかさつ〕よ、悪象などには、心に恐れを抱くこと無かれ、

【悪知識に於ては怖畏の心を生ぜよ。何を以ての故に。】
悪知識には、恐れの心を生ぜよ。何故かと言うと、

【是の悪象等は唯〔ただ〕能〔よ〕く身を壊りて心を壊ること能はず、】
この悪象などは、ただ、よく身を破壊するだけで心を破壊することはできない。

【悪知識は二倶〔とも〕に壊るが故に。】
悪知識は、身と心の二つともに破壊するゆえである。

【是の悪象等は唯一身を壊り、】
この悪象などは、ただ一人の身を破壊するだけであるが、

【悪知識は無量の善身無量の善心を壊る。】
悪知識は、無量の善人の身と無量の善人の心を破壊する。

【是の悪象等は唯能く不浄の臭き身を破壊〔はえ〕し、】
この悪象などは、ただ、よく不浄の臭い身を破壊するだけであるが、

【悪知識は能く浄身及以〔および〕浄心を壊る。】
悪知識は、よく清浄な身および清浄な心を破壊する。

【是の悪象等は能く肉身を壊り、悪知識は法身〔ほっしん〕を壊る。】
この悪象などは、よく肉身を破壊するが、悪知識は、法身を破壊する。

【悪象の為に殺されては三趣〔さんしゅ〕に至らず、】
悪象のために殺されても、三悪道に至らない。

【悪友の為に殺されては必ず三趣に至る。】
悪友のために殺されては、必ず三悪道に至る。

【是の悪象等は但身の怨〔あだ〕と為る、悪知識は善法の怨と為らん。】
この悪象などは、ただ身の敵となるだけであるが、悪知識は、善法の敵となる。

【是の故に菩薩常に当に諸の悪知識を遠離〔おんり〕すべし」(已上)。】
このゆえに菩薩たちよ、常に諸々の悪知識から離れるべきである」とあるのです。

【請〔こ〕ひ願はくは今の世の道俗、】
請い願うことは、今の世の出家、在家は、

【設〔たと〕ひ此の書を邪義なりと思ふと雖も且く此の念を抛〔なげう〕ちて】
たとえ、この守護国家論を邪義と思うとも、しばらく、その考えを捨てて、

【十住〔じゅうじゅう〕毘婆沙〔びばしゃ〕論〔ろん〕を開き、】
十住〔じゅうじゅう〕毘婆沙〔びばしゃ〕論〔ろん〕を開き見て、

【其の難行の内に法華経の入不入を検〔かんが〕へ、】
その難行道の中に法華経が入っているか、いないかを考え、

【選択集の「準之思之〔じゅんししし〕」の四字を按〔あん〕じて】
選択集〔せんちゃくしゅう〕の「之に準じて之を思う」の四文字を思案して、

【後に是非を致せ。】
それが法然房源空の我見であると知った後に、是か非かを決めてください。

【謬〔あやま〕りて悪知識を信じ邪法を習ひ】
誤って選択集〔せんちゃくしゅう〕などの悪知識を信じて邪法を習い、

【此の生を空〔むな〕しうすること莫〔なか〕れ。】
この一生を空しいものにすることが、ないようにしてください。


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