日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


富木常忍御消息文 05 止観第五の事(上野殿母尼御前変事)

【止観第五の事 文永六年一二月二二日 四八歳】
止観第五の事 文永6年12月22日 48歳御作


【止観〔しかん〕第五の事、正月一日辰の時此をよ〔読〕みはじめ候。】
摩訶止観、第五巻を正月一日の御前9時頃より、みんなで読み始めました。

【明年は世間怱々〔そうそう〕なるべきよし皆人申すあひだ、】
明年は、世間が騒々しくなるだろうと、多くの人が言うので、

【一向〔いっこう〕後生のために十五日まで止観を談ぜんとして候が、】
ひたすら、後生の為に正月の15日まで止観を講義しようと思いましたが、

【文あまた候はず候、御計らひ候べきか。】
止観の本が少なくて、それもできず、なんとか御考え願えないでしょうか。

【白米一斗御志申しつくしがたう候。】
白米一斗を御送りくださった御志を申し尽くし難く存じます。

【鎌倉は世間かつ〔渇〕して候、】
鎌倉では、世の中が飢えに苦しんでおります。

【僧はあまた〔数多〕をは〔在〕します、】
弟子の僧侶が多くおり、このように、飢えている時に米を送ってくださったのは、

【過去の餓鬼道〔がきどう〕の苦をばつぐ〔償〕のわせ候ひぬるか。】
過去の餓鬼道の苦悩を償〔つぐな〕われたのでしょうか。

【法門の事、日本国に人ごとに信ぜさせんと願して候ひしが、】
また、この法門の事を、日本の人々に信じさせようと願って来ましたが、

【願や成熟せんとし候らん。】
その願いが成就しようとしているのでしょうか、

【当時は蒙古の勘文によりて世間やわ〔和〕らぎて候なり、】
今、蒙古が攻めて来ると言う意見書が現実になって、世間の非難も和らいでいます。

【子細ありぬと見へ候。本より信じたる人々はことに】
これには、何か意味があると思われます。もとから日蓮を信じてきた人々は、特に

【悦ぶげに候か。恐々謹言。】
喜んでいるようです。恐れながら謹んで申し上げます。

【十二月二十二日   日蓮花押】
12月22日   日蓮花押

【母尼ごぜん〔御前〕にはことに法華経の御信心のふかくましまし候なる事、】
母尼御前には、特に法華経の御信心を深められ、

【悦び候と申させ給び候へ。】
大変喜んでいると御伝えください。


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