日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


富木常忍御消息文 33 富木殿御返事

【富木殿御返事 弘安四年一一月二九日 六〇歳】
富木殿御返事 弘安4年11月29日 60歳御作


【鵞目〔がもく〕一結〔ひとゆ〕ひ、】
銭一結〔ひとゆい〕を確かに頂き、

【天台大師の御宝前を荘厳し候ひ了〔おわ〕んぬ。】
天台大師の御宝前を荘厳にさせて頂きました。

【経に云はく「法華最第一なり」と。】
法華経に「諸経の中で法華経は、最第一である」とあり、

【又云はく「能く是の経典を受持すること有らん者も、亦復是くの如し。】
また「よく、この法華経を受持する者も、また同様である。

【一切衆生の中に於て亦為〔こ〕れ第一なり」と。】
一切衆生の中で、これ、また第一である」とあり、

【又云はく「其の福復彼に過ぎん」と。】
また「持経者を歎美〔たんび〕すれば、その福、また、彼に過ぎ」とあります。

【妙楽云はく「若し悩乱する者は頭七分に破れ】
妙楽大師は「持経者を、もし、悩まし、心を乱す者は、頭が七つに破れ、

【供養すること有らん者は福十号に過ぐ」と。】
もし、供養する者があれば、その福は、仏に過ぐ」と言っています。

【伝教大師も「讃むる者は福を安明〔あんみょう〕に積み、】
伝教大師も「讃嘆する者は、福を安明に積み、

【謗る者は罪を無間に開く」等云云。】
誹謗する者は、罪を無間地獄に開く」などと言っています。

【記の十に云はく「方便の極位に居る菩薩】
法華文句記の第十巻に「七種の方便位の最極の位にいる菩薩でさえ、

【猶尚〔なお〕第五十の人に及ばず」等云云。】
なお、法華経を伝え聞いて随喜した五十番目の人の功徳に及ばず」などとあります。

【華厳経の法慧〔ほうえ〕・功徳林〔くどくりん〕・】
華厳経の法慧〔ほうえ〕菩薩、功徳林〔くどくりん〕菩薩や

【大日経の金剛〔こんごう〕薩埵〔さった〕等、】
大日経の金剛〔こんごう〕薩埵〔さった〕などでさえ

【尚法華経の博地〔はくじ〕に及ばず。】
法華経の下劣の凡夫に及ばないのです。

【何に況んや其の宗の元祖等】
ましてや、それらを依経とする宗派の元祖などや

【法蔵〔ほうぞう〕・善無畏〔ぜんむい〕等に於てをや。】
法蔵〔ほうぞう〕、善無畏〔ぜんむい〕などは、及ぶわけがないのです。

【是は且く之を置く。尼ごぜんの御所労の御事、】
この事は、しばらく置くとして、富木尼御前の御病気のことは、

【我が身一身の上とをも〔思〕ひ候へば昼夜に天に申し候なり。】
自分が身の上の事と思って、昼夜、諸天に祈っております。

【此の尼ごぜんは法華経の行者をやしなう事、灯〔ともしび〕に油をそ〔添〕へ、】
この尼御前は、法華経の行者に、灯〔ともしび〕に油を添〔そ〕え

【木の根に土をかさ〔培〕ぬるがごとし。】
木の根に土を重ねるようにして、供養してきた方です。

【願はくは日月天其の命にかわり給へと申し候なり。】
願わくは、日天、月天に対して、尼御前の命に代わるように、申し付けております。

【又をも〔思〕いわす〔忘〕るゝ事もやと、いよ〔伊予〕房に申しつけて候ぞ。】
よもや、それを忘れる事などないと伊予房に言っております。

【たのもしとをぼしめせ。恐々謹言。】
そう思って安心してください。恐れながら謹んで申し上げます。

【十一月二十九日   日蓮花押】
11月29日   日蓮花押

【富木殿御返事】
富木殿御返事


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