日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


富木常忍御消息文 12 富木殿御返事(土木殿御返事)

【富木殿御返事 文永一〇年七月六日 五二歳】
富木殿御返事 文永10年7月6日 52歳御作


【鵞目〔がもく〕二貫給〔た〕び候ひ了〔おわ〕んぬ。】
銭2貫文を受け取りました。

【太田殿と其れと二人の御心か。】
太田殿とあなたとの二人の御心でしょうか。

【伊与殿は器量物〔きりょうもの〕にて候ぞ。今年留め候ひ了んぬ。】
伊与房は、才能や徳が優れている者です。今年は、こちらに留め置く事にしました。

【御勘気ゆりぬ事御〔おん〕歎〔なげ〕き候べからず候。】
佐渡流罪が赦〔ゆる〕されない事を、御嘆きになっては、なりません。

【当世〔とうせい〕日本国に子細〔しさい〕有るべきの由〔よし〕之を存す。】
当世の日本に面倒な事があるであろうことは、承知しています。

【定めて勘文〔かんもん〕の如く候べきか。】
必ず立正安国論で述べたようになるでしょう。

【設〔たと〕ひ日蓮死生不定〔ふじょう〕なりと雖〔いえど〕も、】
たとえ日蓮の生死が定かでないとしても、

【妙法蓮華経の五字の流布は疑ひ無き者か。】
妙法蓮華経の五字の流布は、疑いないでしょう。

【伝教大師御本意の円宗を日本に弘めんとす。】
伝教大師は、御本意の天台法華宗を日本に弘めようとされました。

【但し定慧〔じょうえ〕は存生に之を弘め】
ただし、天台法華宗の戒、定、慧の三学の内の定と慧は、生存中に弘められ、

【円戒は死後に之を顕はせり。】
円頓戒壇である比叡山、根本中堂は、死後に建立されました。

【事相たる故に一重の大難之有るか。】
具体的な形をともなう物である為に、ひときわ大きな困難があったのでしょう。

【仏滅後二千二百二十余年、】
仏滅後2220余年の間、

【今に寿量品の仏と肝要〔かんよう〕の五字とは流布せず。】
いまだに法華経寿量品文底の仏と肝要の五字は、流布されていないのです。

【当時果報を論ずれば、恐らくは伝教・天台にも超え】
現時の自身の果報を論ずれば、恐らくは、伝教大師や天台大師にも超え、

【竜樹〔りゅうじゅ〕・天親〔てんじん〕にも勝れたるか。】
竜樹や天親よりも優れているでしょう。

【文理〔もんり〕無くんば大慢豈〔あに〕之に過ぎんや。】
文証、現証がなければ、これに過ぎる大慢心があるでしょうか。

【章安〔しょうあん〕大師天台を褒〔ほ〕めて云はく】
章安大師は、天台大師をほめて

【「天竺〔てんじく〕の大論すら尚〔なお〕其の類〔たぐい〕に非ず、】
「インドの大智度論でさえ、それに肩を並べるものではない。

【真旦〔しんだん〕の人師何ぞ労〔わずら〕はしく語るに及ばん、】
中国の人師の書など、どうして、わずらわしく語る必要があるだろうか。

【此誇耀〔こよう〕に非ず】
これは、誇って見せびらかしているのではない。

【法相〔ほっそう〕の然らしむるのみ」等云云。】
説かれた法理の内容が、そうさせるのである」などと述べているのです。

【日蓮又復是〔か〕くの如し、竜樹・天親等尚其の類に非ず等云云。】
日蓮もまた、その通りなのです。竜樹や天親でさえ、肩を並べるものではなく、

【此誇耀に非ず法相の然らしむるのみ。】
これは、誇っているのではないのです。

【故に天台大師、日蓮を指して云はく】
法理の内容がそうさせているのです。ゆえに天台大師は、日蓮を指して

【「後五百歳遠く妙道に沾〔うるお〕はん」等云云。】
「後の五百歳、遠く妙道に沾〔うるお〕はん」と述べているのです。

【伝教大師当世を恋ひて云はく「末法太〔はなは〕だ近きに有り」等云云。】
伝教大師は、現在の世を恋い慕って「末法、はなはだ近くに有り」と述べています。

【幸ひなるかな我が身】
まことに幸せな事は、我が身が法華経勧持品の

【「数々見擯出〔さくさくけんひんずい〕」の文に当たること、】
「しばしば、所を追われる」と言う経文にあてはまっている事なのです。

【悦ばしいかな悦ばしいかな。】
なんと悦ばしい事でしょうか。

【諸人の御返事に之を申す故に委細は止〔とど〕め了んぬ。】
多くの人の返事に、この事を述べておいたので詳しい事は省きます。

【七月六日   日蓮花押】
7月6日    日蓮花押

【土木〔とき〕殿御返事】
土木殿御返事


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