御書研鑚の集い 御書研鑽資料
富木常忍御消息文 06 真間釈迦仏御供養逐状(真間仏供養抄)
【真間釈迦仏御供養逐状 文永七年九月二六日 四九歳】真間釈迦仏御供養逐状 文永7年9月26日 49歳御作
【釈迦仏御造立の御事。】
真間〔まま〕(千葉県市川市)に釈迦牟尼仏を御造立になったと御聞きしました。
【無始曠劫よりいまだ顕はれましまさぬ己心の一念三千の仏、】
無始より今日に至るまで、いまだ顕された事がない己心の一念三千の仏を、
【造り顕はしましますか。はせまいりてをがみまいらせ候はばや。】
いま、造り顕わされたのでしょうか。急ぎ、参って拝し奉りたいものです。
【「欲令衆生開仏知見(乃至)】
法華経方便品に「衆生をして仏知見を開かしめんと欲す」と説かれ、
【然我実成仏已来」は是なり。】
如来寿量品に「然るに、我、実に成仏してより已来」とは、この事なのです。
【但し仏の御開眼の御事は、】
ただし、この仏の御開眼の事は、
【いそぎいそぎ伊よ〔予〕房をも〔以〕てはたしまいらせさせ給ひ候へ。】
すみやかに伊予房に行わせてください。
【法華経一部、御仏の御六根によみ入れまいらせて、】
法華経一部を御仏〔みほとけ〕の御六根に読み入れ参らせて、
【生身の教主釈尊になしまいらせて、かへりて迎ひ入れまいらせさせ給へ。】
生身の教主釈尊となし奉〔たてまつ〕って、御迎え申し上げてください。
【自身並びに子にあらずばいかんがと存じ候。】
それを行うのは、あなた御自身と御子息の伊予房でなければ、ならないと思います。
【御所領の堂の事等は、大進の阿闍梨がきゝて候。】
御所領の堂の事については、大進の阿闍梨が承知しております。
【かへすがへすをがみ結縁しまいらせ候べし。】
くれぐれも、この御仏〔みほとけ〕を拝し奉り、日蓮と結縁して成仏すべきです。
【いつぞや大黒を供養して候ひし、】
いつか大黒を供養されたことが、ありましたが、
【其の後より世間なげかずしておはするか。】
その後、何か現実に問題が起きなかったでしょうか。
【此の度は大海のしほの満つるがごとく、】
この度は、大海の潮〔しお〕が満つるように、
【月の満ずるが如く、福きたり命ながく、】
また、月が満ちるようであり、現世においては、福が来て、命も永らえて、
【後生は霊山とおぼしめせ。】
後生には、霊山に生まれる事は、間違いないと思ってください。
【九月二十六日 日蓮花押】
9月26日 日蓮花押
【進上・富木殿御返事】
進上 富木殿御返事