日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


富木常忍御消息文 24 道場神守護事

【道場神守護事 建治二年一二月一三日 五五歳】
道場神守護事 建治2年12月13日 55歳御作


【鵞目〔がもく〕五貫文慥〔たし〕かに送り給び候ひ了んぬ。】
銭五貫文、確かに御送り頂きました。

【且〔か〕つ知〔し〕ろし食〔め〕すが如く、】
すでに御承知のように、

【此の所は里中を離れたる深山なり。】
この身延は、里を離れた深い山の中であり、

【衣食乏少〔えじきぼうしょう〕の間読経の声続き難く、】
あなたの供養がなかったら、衣食が乏しい為に、読経の声は、続き難く、

【談義の勤め廃〔すた〕るべし。】
談義の勤めは、やめてしまわなければ、ならない所なのです。

【此の託宣〔たくせん〕は十羅刹〔じゅうらせつ〕の御計らひにて】
このような神の差配〔さはい〕は、十羅刹〔じゅうらせつ〕の御計らいで、

【檀那の功を致さしむるか。止観の第八に云はく】
あなたに檀那としての功徳を積ませようとしたものでしょうか。

【「帝釈堂の小鬼、敬ひ避〔さ〕くるが如し。】
摩訶止観の第八巻に「帝釈の堂を小鬼が敬って避けるようなものである。

【道場の神〔かみ〕大なれば妄〔みだ〕りに侵嬈〔しんにょう〕すること無し。】
道場の神が偉大であれば、むやみに病〔やまい〕が侵すことはない。

【又城主剛〔たけ〕ければ守る者強し。】
また、城主が勇敢であれば、守る者も強い。

【城主恇〔おず〕ければ守る者忙〔おそ〕る。心は是〔これ〕身の主なり。】
城主が怯〔おび〕えるときは、守る者も怖れる。心は、身の主である。

【同名〔どうみょう〕同生〔どうしょう〕天は是能く人を守護す。】
同名天、同生天は、よく人を守護する。

【心固ければ則ち強し。身の神〔かみ〕尚〔なお〕爾〔しか〕なり。】
心が堅固なときは、天の守りも強い。身の神でさえそうである。

【況んや道場の神をや」と。】
ましてや道場の神は、なおさらである」とあります。

【弘決〔ぐけつ〕第八に云はく「常に人を護ると雖も、】
止観輔行伝弘決〔ぐけつ〕の第八巻には「常に人を守護するといえども、

【必ず心固きに仮〔よ〕りて神の守り則ち強し」と。】
必ず、心の堅固さによって神の守りは、強いのである」とあり、

【又云はく「身の両肩の神尚常に人を護る。】
また「身の両肩にいる神でさえ、常に人を守護するのである。

【況んや道場の神をや」云云。】
まして道場の神は、なおさらである」とあるのです。

【人所生〔しょしょう〕の時より二神守護す。】
このように人は、生まれた時から、両肩の二神が守護しているのです。

【所謂〔いわゆる〕同生天・同名天、是を倶生神〔ぐしょうしん〕と云ふ。】
いわゆる同生天と同名天がこれで、これを倶生神〔ぐしょうしん〕と言うのです。

【華厳〔けごん〕経の文なり。】
華厳経の文章です。

【文句の四に云はく「賊〔ぞく〕南無仏と称して尚天頭〔てんず〕を得たり。】
法華文句の第四巻には「盗賊が南無仏と唱えただけで天人の守護を得たのである。

【況んや賢者称せば】
ましてや賢者が唱えたならば

【十方の尊神敢〔あ〕へて当たらざらんや。】
十方のあらゆる尊神が守護の任にあたらない事は、絶対にない。

【但精進せよ懈怠〔けだい〕すること勿〔なか〕れ」等云云。】
ただ、ひたすら仏道修行に励み、怠る事なかれ」などとあります。

【釈の意は月氏に天を崇めて仏を用ひざる国あり。】
この法華文句の文章の意味は、インドに天を崇めて仏を用いない国がありました。

【而るに寺を造り第六天の魔王を主とし、頭には金を以てす。】
寺を造っても第六天の魔王を本尊としており、その像の頭は、金で出来ていました。

【大賊年来〔としごろ〕之を盗まんとして得ず。】
大盗賊が数年来、これを盗もうとして、得る事が出来ないでいました。

【有る時仏前に詣〔もう〕で物を盗んで法を聴く。】
ある時、仏前に参詣して、物を盗んで法を聞いたのです。

【仏説いて云はく、南無とは驚覚〔きょうがく〕の義なり。】
仏が説いて言うのには「南無とは、驚愕〔きょうがく〕の義である」と。

【盗人之を聞いて南無仏と称して】
盗人は、これを聞いて「南無仏」と称える事によって

【天頭〔てんず〕を得たり。】
第六天の魔王の像を得る事が出来たのです。

【之を糾名せし処〔ところ〕盗人上〔かみ〕の如く之を申す。】
後に、これを糾明したところ、盗人は、このように答えたのです。

【一国皆天を捨てゝ仏に帰せり云云。】
そこで一国の人々は、皆、天を捨てて仏に帰依したと言うのです。

【彼を以て之を推〔すい〕するに設〔たと〕ひ科〔とが〕有る者も】
この事から、あなたの事を推測すると、たとえ、科〔とが〕がある者でも

【三宝〔さんぼう〕を信ぜば大難を脱れんか。】
仏、法、僧の三宝を信ずるならば、大難を脱れる事が出来るのです。

【而〔しか〕るに今示し給へる託宣の状は兼ねて之を知る。】
そうであれば、今、示された託宣の書状は、かねてから承知している事であり、

【之を案ずるに難却〔さ〕って福来たる先兆〔せんちょう〕なるのみ。】
このことを思案すると、これは、難が去って福が来る前兆なのでしょう。

【妙法蓮華経の妙の一字は竜樹菩薩の大論に釈して云はく】
妙法蓮華経の妙の一字については、竜樹菩薩の大智度論に

【「能く毒を変じて薬と為す」云云。】
「よく毒を変えて薬とする」と解説されており、

【天台大師云はく「今経に記を得る】
天台大師は「二乗は、法華経において記別を得た。

【即ち是毒を変じて薬と為すなり」云云。】
すなわち、これは、毒を変えて薬とするものである」と言われています。

【災〔わざわ〕ひ来たるも変じて幸ひと為らん。】
災いが来たとしても、それは、変じて幸いとなる事でしょう。

【何に況んや十羅刹〔じゅうらせつ〕之を兼ねるをや。】
ましてや、十羅刹が、これを前もって知らせているのですから、なおさらなのです。

【薪〔たきぎ〕の火を熾〔さか〕んにし】
薪〔たきぎ〕が火の勢いを熾〔さか〕んにし、

【風の求羅〔ぐら〕を益〔ま〕すとは是なり。】
風が求羅〔ぐら〕を大きくすると言うのは、この事なのです。

【言〔ことば〕は紙上に尽くし難し、心を以て之を量〔はか〕れ。】
言葉は、手紙に書き尽くし難く、心でこれを推し量ってください。

【恐々謹言。】
恐れながら謹んで申し上げます。

【十二月十三日   日蓮花押】
12月13日   日蓮花押

【御返事】
御返事


ページのトップへ戻る