日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


四条金吾御消息文 11 四条金吾殿御返事

【四条金吾殿御返事 建治元年七月二二日 五四歳】
四条金吾殿御返事 建治元年7月22日 54歳御作


【態〔わざ〕と御使ひ喜び入って候。】
わざわざ御使いをくださり、大変喜んでおります。

【又柑子〔こうじ〕五十・鷲目〔がもく〕五貫文給〔た〕び候ひ畢〔おわ〕んぬ。】
また、みかんを五十個、銭、五貫文を頂きました。

【各々御供養と云云。】
これらは、各々の御供養と言われておられます。

【又御文の中に云はく、去ぬる十六日に有る僧と寄り合ふて候時、】
また御手紙の中に、去る16日に、ある僧侶と会われて、

【諸法実相の法門を申し合ひたりと云云。】
諸法実相の法門で話し合ったとありました。

【今経は出世の本懐、一切衆生皆成〔かいじょう〕仏道の根元と申すも、】
法華経は、出世の本懐であり、一切衆生皆成仏道の根源であると言いますが、

【只此の諸法実相の四字より外は全くなきなり。】
ただ、この諸法実相の四つの文字以外の何物でもないのです。

【されば伝教大師は万里の波涛〔はとう〕をしの〔凌〕ぎ給ひて】
そうであれば、伝教大師は、万里の波濤〔はとう〕を凌〔しの〕ぎ

【相伝しまします此の文なり。】
相伝したのが、この文章なのです。

【一句万了の一言とは是なり。】
この一句に千万の無量の意義が言い顕されているとは、この事なのです。

【当世天台宗の開会〔かいえ〕の法門を申すも】
結局のところ、現在の天台宗の開会〔かいえ〕の法門と言っても、

【此の経文を悪しく意〔こころ〕得〔え〕て邪義を云ひ出だし候ぞ。】
この法華経の文章を勝手に解釈して、何もわからずに邪義を言い出しているのです。

【只此の経を持〔たも〕ちて南無妙法蓮華経と唱へて】
ただ、この法華経を持〔たも〕って南無妙法蓮華経と唱へ

【「正直捨方便、但説無上道」と信ずるを諸法実相の開会の法門とは申すなり。】
「正直捨方便、但説無上道」と信ずることを、諸法実相の開会の法門と言うのです。

【其の故は釈迦仏・多宝〔たほう〕如来・十方三世の諸仏を証人とし奉り候なり。】
そのわけは、釈迦仏、多宝如来、十方三世の諸仏が証人となっているからなのです。

【相構へてかくの如く心得させ給ひて】
このように心得て「正直捨方便、但説無上道」の

【諸法実相の四つの文字を時々あぢわへ給ふべし。】
諸法実相の四つの文字をもって、時々、自分の信心を反省してみてください。

【良薬〔ろうやく〕に毒をまじうる事有るべきや。】
良薬に毒を入れてしまって、何の意味があるでしょうか。

【うしほ〔潮〕の中より河の水を取り出だす事ありや。】
海の潮の中より、川の水を取り出して何の意味があるでしょうか。

【月は夜に出で、日は昼出で給ふ。此の事諍〔あらそ〕ふべきや。】
月は、夜に出で、太陽は、昼に出るのです。この事を争うべきでしょうか。

【此より後には加様〔かよう〕に意得給ひて、御問答あるべし。】
今後は、このように心得て、問答してください。

【但し細々〔こまごま〕は論難し給ふべからず。】
つまらない事を、いちいち論破しても何の意味もありません。

【猶〔なお〕も申さば】
それでも、なお議論をしようと言うのであれば、

【それが〔某〕しの師にて候日蓮房に御法門候へと、】
私の師である日蓮の前代未聞の法門であると、

【うち咲〔わら〕ふて打ち返し打ち返し仰せ給ふべく候。】
微笑んで何度でも言い返しなさい。

【建治元年(乙亥)七月二十二日   日蓮花押】
建治元年7月22日   日蓮花押

【四条中務三郎左衛門尉殿御返事】
四条中務三郎左衛門尉殿御返事

【法門を書きつる間、御供養の志は申さず候。】
法門を書いているうちに御供養の志については、何も述べていませんでしたが、

【有り難し有り難し。委〔くわ〕しくは是よりねんごろに申すべく候。】
大変、有難く思っております。詳しくは、これから、また御知らせ致します。


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