日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


四条金吾御消息文 25 四条金吾殿御返事(不孝御書・陰徳陽報御書)

【四条金吾殿御返事 弘安二年四月二三日 五十八歳】
四条金吾殿御返事 弘安2年4月23日 58歳御作


【なによりも人には不孝がをそ〔恐〕ろしき事に候ぞ。】
何よりも、人間として、恐れなければならない事は、不孝と言うことです。

【との〔殿〕ゝあに〔兄〕をとゝ〔弟〕は、われと法華経のかたきになりて、】
あなたの兄弟は、自ら法華経に敵対する者となって、

【とのをはな〔離〕れぬれば、】
あなたから離れてしまったのですから、

【かれこそ不孝のもの、とのゝみ〔身〕にはとがなし。】
あなたの兄弟こそ不孝の者であり、あなたの身に過失などはありません。

【をうな〔女〕るい〔類〕どもこそ、とのゝはぐくみ給はずば】
しかしながら、姉妹たちを、あなたが面倒を見なければ、

【一定不孝にならせ給はんずらんとをぼへ候。】
今度は、あなた自身が不孝の者になるのです。

【所領もひろくなりて候わば、我がりゃう〔領〕えも下しなんどして】
所領が広くなったのですから、自分の領地を与えるなどの配慮をして、

【一身すぐるほどはぐくませ給へ。】
一所懸命に面倒を見るようにしてください。

【さだにも候わば過去の父母定んでまぼり給ふべし。】
そうすれば、過去の父母も、必ず、あなたを守護されることでしょう。

【日蓮がきせい〔祈請〕もいよいよかない候べし。】
そうであればこそ、日蓮の祈請も、いよいよ叶うのです。

【いかにわるくとも、きかぬやうにてをはすべし。】
たとえ、周囲から悪口を言われたとしても、聞かぬふりをしていきなさい。

【この事をみ〔見〕候に申すやうにだにもふ〔触〕れまわせ給ふならば、】
日蓮が見るところでは、これまで手紙に書いた通りに、あなたが振舞えば、

【なをなをも所領もかさなり、人のをぼへもいできたり候べしとをぼへ候。】
なお一層、所領も増えて周囲の人からの信用も出て来ると思われます。

【さきざき申し候ひしやうに、陰徳あれば陽報ありと申して、】
以前から申しているように陰徳あれば陽報ありと言って、

【皆人は主にうたへ、主もいかんぞをぼせしかども、】
たとえ、周囲の人々が、主君に讒言して、主君がそれに同意したとしても、

【わどの〔和殿〕の正直の心に主の後生をたすけたてまつらむとをもう心】
あなたが主君の後生を助けようとする正直な心が

【がうじゃう〔強盛〕にして、すねん〔数年〕をすぐれば、】
非常に強く、ここ数年を過ごしてきた結果が、

【かかるり〔利〕しゃう〔生〕にもあづからせ給ふぞかし。】
このような功徳となって現れたのです。

【此は物のはしなり。大果報は又来たるべしとをぼしめせ。】
しかし、これは、功徳の一部で、さらに大きな果報があると思ってください。

【又此の法門の一門いかなる本意なき事ありとも、】
また、この法門を信ずる日蓮門下にあっては、たとえ不本意な事があっても、

【みず、きかず、いわずしてむつばせ給へ。】
今後は、見ず、聞かず、言わずして、仲良くしていきなさい。

【大人にいのりなしまいらせ候べし。】
あなたが立派な人であることは、私から法華経に御報告し、御祈念致しましょう。

【上に申す事は私の事にはあらず。】
以上、申して参りましたことは、私見ではありません。

【外典三千、内典五千の肝心の心をぬきてかきて候。あなかしこあなかしこ。】
もったいなくも、外典三千、内典五千の肝心の心を抜粋して書いております。

【恐々謹言。】
恐れながら謹んで申し上げます。

【卯月二十三日   日蓮花押】
4月23日   日蓮花押

【御返事】
御返事


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