日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


四条金吾御消息文 26 蒙古事

【蒙古事 弘安二年八月六日 五八歳】
蒙古事 弘安2年8月6日 58歳御作


【御文〔ふみ〕はいそぎ御返事申すべく候ひつれども、】
御手紙に急いで御返事申し上げるべきでしたが、

【たしかなるびんぎ〔便宜〕候はで、いまゝで申し候はず。】
機会がなかったので、今まで申し上げられないでいました。

【べんあざり〔弁阿闍梨〕がびんぎ、】
弁阿闍梨日昭の来訪の折は、

【あまりそうそう〔早早〕にてか〔書〕きあへず候ひき。】
あまりに急いでいたので書くことが出来ませんでした。

【さては各々としのころいかんがとをぼしつるもうこ〔蒙古〕の事、】
さて、ここ数年来、どうであろうかと思われてきた蒙古襲来の事は、

【すでにちかづきて候か。】
既に、その時期が近づいているように思われます。

【我が国のほろ〔亡〕びん事はあさましけれども、】
我が国が亡びる事は、嘆かわしいけれども、

【これだにもそら〔虚〕事になるならば、日本国の人々いよいよ法華経を謗じて】
立正安国論が、嘘になるならば、日本の人々は、ますます法華経を誹謗して、

【万人無間地獄に堕つべし。かれだにもつよ〔強〕るならば】
万人が無間地獄に堕ちる事になるでしょう。蒙古が攻めて来るならば、

【国はほろぶとも謗法はうすくなりなん。】
日本の国は、亡びるとしても、謗法は、薄くなるでしょう。

【譬へば灸治〔やいと〕をしてやまいをいやし、】
たとえば、御灸をして病気を癒〔いや〕し、

【針治〔はりたて〕にて人をなをすがごとし。】
鍼〔はり〕で人の病を治すようなものです。

【当時はなげ〔嘆〕くとも後は悦びなり。】
その時は、嘆いたとしても、後には楽になり、悦びとなるのです。

【日蓮は法華経の御使ひ、日本国の人々は】
日蓮は、法華経の御使いです。今の日本国の人々は、

【大族〔だいぞく〕王の一閻浮提の仏法を失ひしがごとし。】
過去の大族〔だいぞく〕王が一閻浮提の仏法を亡ぼしたようなものなのです。

【蒙古国は雪山〔せっせん〕の下王〔げおう〕のごとし。】
蒙古国は、雪山〔せっせん〕の下王〔げおう〕のようなものなのです。

【天の御使ひとして】
諸天善神の御使いとして

【法華経の行者をあだ〔怨〕む人々を罰せらるゝか。】
法華経の行者を怨む人々を罰しようとされているのでしょうか。

【又、現身に改悔〔かいげ〕ををこしてあるならば、】
また、現身に悔い改める心を起こしたならば、

【阿闍世王〔あじゃせおう〕の仏に帰して白癩〔びゃくらい〕をや〔治〕め、】
阿闍世王〔あじゃせおう〕が釈迦牟尼仏に帰伏して白癩〔びゃくらい〕病を治し、

【四十年の寿〔いのち〕をのべ、無根の信と申す位にのぼりて】
四十年の間、寿命を延ばし、信じる機根がないにも関わらず、不退転の位に登って

【現身に無生忍をえ〔得〕たりしがごとし。】
現身に無生法忍という悟りを得たのと同じように救われるのです。

【恐々謹言。】
恐れながら謹んで申し上げます。

【八月六日   日蓮花押】
8月6日   日蓮花押


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