御書研鑚の集い 御書研鑽資料
四条金吾御消息文 13 四条金吾殿御返事
【四条金吾殿御返事 建治二年六月二七日 五五歳】四条金吾殿御返事 建治2年6月27日 55歳御作
【一切衆生、南無妙法蓮華経と唱ふるより外の遊楽〔ゆうらく〕なきなり。】
一切衆生にとって、南無妙法蓮華経と唱える他の遊楽は、ないのです。
【経に云はく「衆生所遊楽」云云。】
法華経如来寿量品には「衆生所遊楽」とあり、
【此の文あに自受法楽〔じじゅほうらく〕にあらずや。】
この文章は、自受法楽の事ではないでしょうか。
【衆生のうちに貴殿もれ給ふべきや。】
この中の衆生には、あなたも含まれる事でしょう。
【所とは一閻浮提〔えんぶだい〕なり。日本国は閻浮提の内なり。】
所とは、一閻浮提の事であり、この日本も閻浮提の内です。
【遊楽とは我等が色心依正ともに一念三千】
遊楽とは、私達の色心、依正がともに一念三千、
【自受用身の仏にあらずや。】
自受用身の仏と言う事ではないでしょうか。
【法華経を持ち奉るより外に遊楽はなし。】
法華経を持〔たも〕ち奉〔たてまつ〕るより、外に遊楽はないのです。
【現世安穏〔げんぜあんのん〕・後生善処〔ごしょうぜんしょ〕とは是なり。】
現世安穏、後生善処とは、この事なのです。
【たゞ世間の留難来たるとも、とりあへ給ふべからず。】
たとえ世間で問題が起きても、取り合わないでください。
【賢人聖人も此の事はのがれず。】
賢人、聖人であっても、この事からは、逃れられないのです。
【たゞ女房と酒うちのみて、南無妙法蓮華経ととなへ給へ。】
ただ、女房と酒を飲んで、南無妙法蓮華経と唱えていきなさい。
【苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合はせて、】
苦をば苦と悟り、楽をば楽と悟り、苦楽ともに思い合わせて、
【南無妙法蓮華経とうちとな〔唱〕へゐ〔居〕させ給へ。】
南無妙法蓮華経と唱えていってください。
【これあに自受法楽にあらずや。】
これが自受法楽ではないでしょうか。
【いよいよ強盛の信力をいたし給へ。恐々謹言。】
いよいよ強く信じる力を持ってください。恐れながら謹んで申し上げます。
【建治二年(丙子)六月二十七日 日蓮花押】
建治2年6月27日 日蓮花押
【四条金吾殿御返事】
四条金吾殿御返事