日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


観心本尊抄 23 迹門熟益三段


第22章 迹門熟益三段

【又法華経等の十巻に於ても二経有り。】
また法華経と開結二経をあわせた十巻においても、迹門と本門の二経があり、

【各〔おのおの〕序正流通を具〔ぐ〕するなり。】
おのおの序分、正宗分、流通分を具〔そな〕えているのです。

【無量義経と序品は序分なり、】
まず迹門の三段を明かすならば無量義経と序品は序分であり、

【方便品より人記品に至るまでの八品は正宗分なり、】
方便品第二より人記品第九に至るまでの八品は正宗分であり、

【法師品より安楽行品に至るまでの五品は流通分なり。】
法師品第十より安楽行品第十四に至るまでの五品は流通分なのです。

【其〔そ〕の教主〔きょうしゅ〕を論ずれば始成〔しじょう〕正覚の仏、】
この迹門を説いた教主を論じるならば、インドで成仏した始成正覚の仏であり、

【本無今有〔ほんむこんぬ〕の百界千如を説いて】
過去の真実の原因を説かずに結果である現在の姿のみの百界千如を説いて、

【已今当〔いこんとう〕に超過せる随自意〔ずいじい〕・】
現在、過去、未来において、その中で最高の自らの意志によって説くところの教え、

【難信難解〔なんしんなんげ〕の正法なり。】
難信難解の正しい法であると言っているのです。

【過去の結縁〔けちえん〕を尋〔たず〕ぬれば】
その過去を知ろうとすれば三千塵点劫の過去において

【大通十六の時仏果の下種を下〔くだ〕し、】
釈迦が大通智勝仏の第十六番目の王子の時に仏となる原因を作り、

【進んでは華厳経等の前四味を以〔もっ〕て助縁と為〔な〕して】
さらにインドに生まれて華厳経などの前四味を説いて間接的に

【大通の種子を覚知せしむ。】
大通智勝仏の仏となる原因を弟子達に理解させようとしたのでした。

【此〔これ〕は仏の本意に非ず、】
しかし、これは仏の本意ではなく、この意味を理解出来ずに、

【但毒発〔どくほつ〕等の一分なり。】
これを無条件に信じれば、ただ毒薬が身体を巡るようなものなのです。

【二乗・凡夫等は前四味を】
しかしながら、釈迦在世の二乗や凡夫は、前四味を聞いて

【縁〔えん〕として、】
それによって仏法を理解し、

【漸々〔ぜんぜん〕に法華に来至〔らいし〕して種子を顕はし、】
次第に法華経へと進んで、ついに仏となる原因を理解して、

【開顕〔かいけん〕を遂〔と〕ぐるの機是〔これ〕なり。】
ついに己心の仏界を開顕をして未来に於いて仏となる事を得たのです。

【又在世に於て始めて】
また釈迦在世において始めて、

【八品を聞く人天等、】
この迹門の正宗分の八品を聞いた人界、天界の衆生は、

【或は一句一偈等を聞いて下種と為し、或は熟〔じゅく〕し或は脱〔だっ〕し、】
その一句一偈を聞いて、下種となし、あるいは熟となし、あるいは脱となして、

【或は普賢・涅槃等に至り、】
普賢品、涅槃経によって、

【或は正像末等に小権等を以て】
さらに正法、像法、末法の初めに衆生と生まれて小乗教や権教などを

【縁と為して法華に入〔い〕る。例せば在世の】
助けとして法華経に入ったのです。あたかも釈迦在世の

【前四味の者の如し。】
前四味を聞いて、大通智勝仏の仏となる原因を理解した者のようなものなのです。


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