御書研鑚の集い 御書研鑽資料
観心本尊抄 25 文底下種三段の序正
第24章 文底下種三段の序正
【又本門に於ても序正流通有り。】
また、文底独一の本門においても序分、正宗分、流通分があります。
【過去大通仏の法華経より】
過去三千塵点劫の大通智勝仏の十六人の王子が繰り返し法華経を説いて
【乃至〔ないし〕現在の華厳経、】
現在のインドで釈尊が説いた華厳経まで、
【乃至迹門十四品・涅槃経等の】
そして法華経の迹門十四品から涅槃経までの
【一代五十余年の諸経・十方三世諸仏の微塵〔みじん〕の経々は】
一代五十余年の諸経も、また十方三世諸仏の大地微塵のように膨大な数の経々も、
【皆寿量の序分なり。】
すべて寿量品の文底に隠された三大秘法の大御本尊の序分なのです。
【一品二半よりの外は小乗教・邪教〔じゃきょう〕・】
この一品二半で説明された大御本尊より外は、すべて小乗教であり、邪教であり、
【末得道教〔みとくどうきょう〕・覆相教〔ふそうきょう〕と名づく。】
未得道の教えであり、真実を覆いかくす教えであるのです。
【其の機を論ずれば徳薄垢重・】
それを信ずる衆生の機根を論ずるならば、徳が薄く、悪業まみれで、
【幼稚・貧窮〔びんぐ〕・孤露〔ころ〕にして禽獣〔きんじゅう〕に同ずるなり。】
幼稚であり、智慧が乏しく、独善的でまったく獣と変わりないのです。
【爾前・迹門の円教すら】
彼らには、爾前や迹門に説かれた三諦円融の法門ですら、
【尚〔なお〕仏因に非ず、何〔いか〕に況んや大日経等の】
まったく成仏の原因とはならないのです。ましてや、大日経や華厳経のような
【諸小乗経をや。】
多くの小乗経で成仏など出来るわけも有りません。
【何に況んや華厳・真言等の】
さらに華厳宗や真言宗などのような
【七宗等の論師・人師の宗をや。】
七宗の論師や人師が我見で作った宗派などによって成仏するわけなどないのです。
【与〔あた〕へて之を論ずれば】
さらに、これを論じれば、
【前三教を】
すべて小乗経の三蔵教(蔵教)、三乗の為の大乗初門(通教)、
【出でず、】
空仮中三諦(別教)の三教を出でず、
【奪って之を云へば蔵通に同ず。】
ようするに、すべては蔵教、通教の範囲内の低い教えなのです。
【設〔たと〕ひ法は甚深と称すとも】
これらの宗派が自らの教えを甚深であると称しても、
【未だ種熟脱〔しゅじゅくだつ〕を】
未だに成仏の原因である下種と修行方法の熟益、
【論ぜず、】
その未来における結果の脱益を論じていないから、
【還って灰断〔けだん〕に同〔どう〕じ、】
無余灰断〔むよけだん〕(灰身滅智)と同じであり、
【化〔け〕の始終〔しじゅう〕無〔な〕しとは是なり。】
仏道修行の最初と最後の下種、熟益、脱益がわからないのです。
【譬〔たと〕へば王女たりと雖も畜種〔ちくしゅ〕を懐妊〔かいにん〕すれば】
たとえば、王女であっても畜生の種を宿せば、
【其の子尚旃陀羅〔せんだら〕に】
その子供は、人間としてもっとも下賤な旃陀羅にさえ
【劣〔おと〕れるが如し。】
劣るのと同じようなものなのです。
【此等は且〔しばら〕く】
経文がいかに正しくても、仏種であるところの本尊を間違えれば、
【之を閣〔お〕く。】
成仏は有り得ないのです。