御書研鑚の集い 御書研鑽資料
観心本尊抄 33 観心本尊抄副状
第32章 観心本尊抄副状
【観心本尊抄副状 文永一〇年四月二六日 五二歳】
観心本尊抄副状 文永10年(西暦1273年)4月26日 52歳御作
【帷〔かたびら〕一つ、墨三長、筆五管給〔た〕び候ひ了〔おわ〕んぬ。】
垂れ衣一つ、墨を三挺、筆を五管を確かに頂きました。
【観心の法門少々之〔これ〕を註し、】
観心の法門を、少しだけ取り出して
【太田殿・教信御房等に奉る。】
大田殿、曾谷教信殿、その他、強信者の方々に送りました。
【此の事日蓮当身の大事なり。】
この事は、日蓮の身にあたる大事であります。
【之を秘して無二の志を見ば之を開拓せらるべきか。】
これを他人には見せずに、大きな志によって、これを開いて読んでください。
【此の書は難多く答へ少なし、未聞〔みもん〕の事なれば】
この書は、疑問が多く答えが少ないのですが、前代未聞の事であるから、
【人の耳目〔じもく〕之を驚動〔きょうどう〕すべきか。】
おそらく人々は、耳を疑い目を驚かす事でしょう。
【設〔たと〕ひ他見に及ぶとも、】
たとえ、理由が有って他人に見せる時でも、
【三人四人座を並べて之を読むこと勿〔なか〕れ。仏滅後二千二百二十余年、】
三人、四人と一緒にこれを読んではなりません。仏滅後、二千二百二十余年の間、
【未〔いま〕だ此の書の心有らず、】
未だこの書の心が世に説き現される事はありませんでした。
【国難を顧〔かえり〕みず五五百歳を期して】
いま日蓮がこのような国難を受け、五の五百歳にあたる末法の初めを期して、
【之を演説す。乞〔こ〕ひ願はくば一見を歴来〔へき〕たるの輩、】
この未曾有の法門を述べ説き明かすのです。願はくば、これを一目でも見る者は、
【師弟共に霊山浄土に詣〔もう〕でて、】
必ずこれを信じ、師弟ともに霊山浄土へと行って
【三仏の顔貌〔げんみょう〕を拝見したてまつらん。】
三仏の顔を拝見しようではありませんか。
【恐々謹言。】
怖れながら申し上げます。
【文永十年(太歳癸酉)卯月廿六日 日蓮花押】
文永10年(西暦1273年)4月26日 日蓮花押
【富木殿御返事】
富木殿御返事