日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


報恩抄 1 背景と大意


この報恩抄は、建治二年(西暦1276年)7月21日、日蓮大聖人の幼少の時の師匠である清澄寺の道善房が3月16日に亡くなった事に対して、その報恩の為に書かれたものです。
この道善房は、大聖人から、丁寧な折伏を受けていたにも拘わらず、本心では、大聖人の言われていることを正しいと知りながら、世間の目を恐れて念仏から改宗することは、ありませんでした。しかし、道善房は、日蓮大聖人の出家の師匠であり、仏教を教えてくれた恩人であります。日蓮大聖人は、その恩を忘れることは、ありませんでした。
その道善房が死去したことを聞いて、すぐにでも道善房の墓に参りたい気持であるが、隠遁していると世間から思われている身であり、それも出来ないと嘆かれ、そこで清澄寺にいる兄弟子の浄顕房、義浄房に、この報恩抄を送られ、恩を報じる事こそ、人の道であり、中でも正しい仏法を説く人にこそ最大の報恩を尽くして行くのが最も正しい報恩となる事を仏教の歴史を通じて詳しく説明され、最終的には、大聖人が顕わされた御本尊に題目を唱えることこそが、最大の報恩となることを道理によって教えられています。
そして、この御書を故道善房の墓前で読み上げるように兄弟子の浄顕房、義浄房に頼まれておられます。
このように、たとえ何かの理由があって墓参りや葬儀に出席することが出来なくとも、正しく御本尊様に題目を唱えることこそ、その人への最大の追善供養であり、回向ともなるのです。



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