日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


報恩抄 2 報恩の道理を明かす


第1章 報恩の道理を明かす

【報恩抄 建治二年七月二一日 五五歳】
報恩抄 建治二年(西暦1276年)7月21日 55歳御作

【夫〔それ〕老狐〔ろうこ〕は塚をあとにせず、】
そもそも、古狐〔ふるぎつね〕は、生まれた住処〔すみか〕を忘れず、

【白亀〔はくき〕は毛宝〔もうほう〕が恩をほう〔報〕ず。】
また、毛宝と云う人に助けられた白い亀は、その人に恩を返したと言います。

【畜生すらかくのごとし、】
動物ですら、このようであるのですから、

【いわ〔况〕うや人倫をや。】
人間は、恩に報〔むく〕いる事を忘れてはなりません。

【されば古〔いにしえ〕の賢者予譲〔よじょう〕といゐし者は】
そうであればこそ、故事に予譲と云う賢者は、

【剣〔つるぎ〕をのみて智伯〔ちはく〕が恩にあて、】
主人である智伯への報恩の為に剣で自分を刺し、

【こう〔弘〕演と申せし臣下は腹をさ〔割〕ひて】
弘演と云う人は、主人の懿公の肝が捨ててあったのを見て、

【衛〔えい〕の懿公〔いこう〕が肝を入れたり。】
自分の腹を裂いてその肝を入れて死にました。

【いかにいわうや仏教をならはん者の】
世間でも、このようであるのに仏法を学ぼうと思う者は、

【父母・師匠・国恩をわするべしや。】
必ず、親の恩、師の恩、国の恩を忘れては、いけないのです。


ページのトップへ戻る