日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


報恩抄 4 諸宗の迷乱を挙ぐ


第3章 諸宗の迷乱を挙ぐ

【かくのごとく存じて父母・師匠等に随はずして】
そして過去に、この事を理解して、父母や師匠に従わずに

【仏法をうかゞいし程に、一代聖教をさとるべき明鏡十あり。】
仏法を学び、釈迦牟尼仏の教えを覚ったと言う者が十人もいるのです。

【所謂〔いわゆる〕倶舎〔くしゃ〕・】
それは、倶舎宗、

【成実〔じょうじつ〕・律宗・法相〔ほっそう〕・】
成実宗、律宗、法相宗、

【三論・真言・華厳・浄土・禅宗・天台法華宗なり。】
三論宗、真言宗、華厳宗、浄土宗、禅宗、天台法華宗の指導者達です。

【此の十宗を明師として】
この十の宗派の指導者によって、

【一切経の心をしるべし。】
釈迦牟尼仏が説いた全ての経文の心がわかると云うのです。

【世間の学者等をも〔思〕えり、此の十の鏡は】
世間の学者もそう思い、この十の宗派の指導者の教えは、

【みな正直に仏道の道を照らせりと。】
すべて正しく仏法の道を照らしていると思われているのです。

【小乗の三宗はしばら〔且〕くこれをを〔置〕く。】
小乗経である倶舎宗、成実宗、律宗は、しばらく、これを置きます。

【民の消息の是非につけて、】
それは、小乗経が各個人の戸籍であり別の国では何の意味もないのと同じで、

【他国へわたるに用〔ゆう〕なきがごとし。】
大乗経が説かれれば、それに何の意味もないからなのです。

【大乗の七鏡こそ生死の大海をわたりて浄土の岸につく大船なれば、】
大乗経の七つの教えこそ、生死の大海を渡って成仏できる大船であって、

【此を習ひほど〔解〕ひて我がみ〔身〕も助け、】
これを習い極めて我が身も成仏し、

【人をもみち〔導〕びかんとをもひて習ひみるほどに、】
人々をも導びこうと思って実際にこれらを学んでみると、

【大乗の七宗いづれもいづれも自讃あり。】
いずれの宗派も自分で自分を褒め称えているだけであったのです。

【我が宗こそ一代の心は】
これらはみんな、我が宗派こそ釈迦牟尼仏の一代の真実の教えであると

【え〔得〕たれえ〔得〕たれ等云云。】
自画自賛するのみであったのです。

【所謂〔いわゆる〕華厳宗の杜順〔とじゅん〕・智儼〔ちごん〕・】
華厳宗の杜順、智儼、

【法蔵〔ほうぞう〕・澄観〔ちょうかん〕等、法相宗の玄奘〔げんじょう〕・】
法蔵、澄観、法相宗の玄奘、

【慈恩〔じおん〕・智周〔ちしゅう〕・智昭〔ちしょう〕等、】
慈恩、智周、智昭、

【三論宗の興皇〔こうこう〕・嘉祥〔かじょう〕等、】
三論宗の興皇、嘉祥、

【真言宗の善無畏〔ぜんむい〕・金剛智〔こんごうち〕・不空〔ふくう〕・】
真言宗の善無畏、金剛智、不空、

【弘法〔こうぼう〕・慈覚〔じかく〕・智証〔ちしょう〕等、】
弘法、慈覚、智証、

【禅宗の達磨〔だるま〕・慧可〔えか〕・慧能〔えのう〕等、】
禅宗の達磨、慧可、慧能、

【浄土宗の道綽〔どうしゃく〕・善導〔ぜんどう〕・】
浄土宗の道綽、善導、

【懐感〔えかん〕・源空〔げんくう〕等。】
懐感、源空。

【此等の宗々みな本経本論によりて我も我も】
これらの宗派の指導者は、みんな自らが信じる経文や経論で

【一切経をさとれり仏意〔ぶっち〕をきわめたりと云云。】
一切経を理解して仏法を極めたと説いているのです。

【彼の人々の云はく、一切経の中には華厳経第一なり。】
華厳宗の者は、一切経の中で華厳経が第一であるとして、

【法華経・大日経等は臣下のごとし。】
法華経や大日経は、その家来のような存在であると言っています。

【真言宗の云はく、一切経の中には大日経第一なり。】
真言宗の者は、一切経の中で大日経が第一であるとして、

【余経は衆星のごとし。】
他の経は、月に対する星のような存在であると言っています。

【禅宗が云はく、一切経の中には楞伽経〔りょうがきょう〕第一なり。】
禅宗の者は、一切経の中で楞伽経が第一であるとしており、

【乃至余宗かくのごとし。】
他の宗派も、これとまったく同じような主張をしています。

【而も上に挙ぐる諸師は世間の人々各々をも〔思〕えり。】
このような各宗各派の指導者達を世間の人々も

【諸天の帝釈をうやまひ衆星の日月に随ふがごとし。】
天神が帝釈を敬うように星が日月に従うように優れた人だと思っているのです。


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