日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


南条時光御息文 06 上野殿尼御前御返事(衣食御書)

【上野殿尼御前御返事 文永一一年 五三歳】
上野殿尼御前御返事 文永11年 53歳御作


【鵞目〔がもく〕一貫給〔た〕び候ひ了んぬ。】
銭一貫の御供養を頂きました。

【それ、じき〔食〕はいろ〔色〕をまし、ちから〔力〕をつけ、】
そもそも、人は、食物によって顔色も良くなり、体力も増し、

【いのち〔命〕をの〔延〕ぶ。ころも〔衣〕はさむ〔寒〕さをふせぎ、】
命も伸ばす事が出来ます。衣服は、寒さを防ぎ、

【あつ〔暑〕さをさ〔障〕え、はぢ〔恥〕をかくす。】
暑さを遮〔さえぎ〕り、身の恥を隠します。

【人にもの〔物〕をせ〔施〕する人は、人のいろ〔色〕をまし、】
このように衣食は、人が生きて行く上で必要欠くべからざる物なのです。

【ちからをそえ、いのちをつぐなり。】
このように大切なものを施すことによって、力を添え、命をつなぐのです。

【人のためによる火をともせば】
人の為に灯をともして足元を照らせば、

【人のあかるきのみならず、我が身もあか〔明〕し。】
その人の足元が明るいだけではなく、自身の足元も明るくなります。

【されば人のいろをませば我がいろまし、人の力をませば我がちからまさり、】
これと同じように、他人を助けて、人の体力を増せば、自らの体力も増し、

【人のいのちをのぶれば、我がいのちのの〔延〕ぶなり。】
人が長生きするように力添えをすれば、自らも長生きが出来るようになるのです。

【法華経は釈迦仏の御いろ、世尊の御ちから、如来の御いのちなり。】
法華経は、釈迦牟尼仏の色身、世尊の体力、如来の生命であり、

【やまいある人は、法華経をくやう〔供養〕すれば身のやまいうすれ、】
病〔やまい〕の人は、法華経を供養すれば、身の病〔やまい〕が薄れ、

【いろまさり、ちからつき〇〇〇〇〇〇〇〇】
血色が良くなり、生きる力がつき、〇〇〇〇〇〇〇〇

【〇〇〇〇〇〇〇〇てみればもの〔物〕もさわらず、】
〇〇〇〇〇〇〇〇てみれば、物も障りとなることもなく、

【ゆめうつゝわかずしてこそをはすらめ。】
夢と現実とを分ける事も出来ない状態でいることでしょう。

【と〔訪〕ひぬべき人のとぶらはざるも、うらめしくこそをはすらめ。】
また、訪れるべき人が来ない事も、恨めしく思っていることでしょう。

【女人の御身として、をやこ〔親子〕のわかれにみをすて、】
女性の身としては、親子の別れで身を捨てて、

【かたちをかうる人すくなし。をとこ〔夫〕のわかれは、】
尼となる人は少ないのですが、夫との別れでは、

【ひゞ〔日日〕よるよる〔夜夜〕つきづき〔月月〕としどし〔年年〕かさなれば、】
日々、夜々、月々、年々と時が経って、

【いよいよこい〔恋〕しさまさり、】
いよいよ恋しさが募って、尼となる人が多いのです。

【をさな〔幼〕き人もを〔在〕はすなれば、】
また、幼い子供も居るので、

【たれ〔誰〕をたのみてか人ならざらんと、かたがたさこそをはすらるれば、】
誰を頼りとして一人前に育てようかと、心配されている事でしょうから、

【わ〔我〕がみ〔身〕もまいりて心をもなぐさめたてまつり、】
私も、あなたの元へ行き心を慰め、

【又弟子をも一人つかわして】
また、弟子を一人遣わして、

【御はか〔墓〕の〇〇〇〇〇〇〇〇一巻の御経をもと存じ候へども、】
墓の前で〇〇〇〇〇〇〇〇一巻の経文を唱えようとも思っていましたが、

【このみ〔身〕はし〔知〕ろしめされて候がごとく、】
この身は、御存じの通り、

【上下ににく〔憎〕まれて候もの〔者〕なり。】
上下の万民に憎まれているので思うようになりません。


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