日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


南条時光御息文 30 異体同心事

【異体同心事 弘安二年八月 五八歳】
異体同心事 弘安2年8月 58歳御作


【白小袖一つ、あつわた〔厚綿〕の小袖、はわき〔伯耆〕房のびんぎ〔便宜〕に】
白の小袖一つと厚綿〔あつわた〕の小袖、日興殿の身延来訪の折に

【鵞目〔がもく〕一貫、並びにうけ給はりぬ。】
託された銭一貫文を確かに受けとりました。

【はわき房・さど〔佐渡〕房等の事、あつわら〔熱原〕の者どもの御心ざし、】
日興殿、佐渡房などの事は、熱原の人々の志が、

【異体同心なれば万事を成〔じょう〕じ、】
異体同心であるときは、すべて成就し、

【同体異心なれば諸事叶ふ事なしと申す事は】
同体異心であれば、諸事すべてにわたって、何事も叶うことはないでしょう。

【外典三千余巻に定まりて候。】
このことは、外典の三千余巻の書物にも書いてあり、間違いない事なのです。

【殷〔いん〕の紂〔ちゅう〕王は七十万騎なれども】
殷〔いん〕の紂〔ちゅう〕王は、七十万騎でしたが、

【同体異心なればいくさ〔軍〕にまけぬ。】
同体異心であったので、戦いに負けてしまいました。

【周の武王は八百人なれども異体同心なればかちぬ。】
周の武王は、わずか八百人であったけれど、異体同心であったので勝ったのです。

【一人の心なれども二つの心あれば、】
一人の心であっても、二つの心があれば、

【其の心たが〔違〕いて成ずる事なし。】
その心が揺れ動いて、物事を成し遂げる事は、出来ないのです。

【百人千人なれども】
たとえ百人、千人であっても、

【一つ心なれば必ず事を成ず。】
一つの心であれば、必ず物事を成し遂げることが出来ます。

【日本国の人々は多人なれども、】
日本の国中の人々は、大勢ですが、

【同体異心なれば諸事成ぜん事かたし。】
同体異心であるので、何事も成し遂げることが難しいのです。

【日蓮が一類は異体同心なれば、】
それに対して、日蓮の門下は、異体同心であるので、

【人々すくなく候へども大事を成じて、】
人々は、少ないけれども、大事を成し遂げて、

【一定〔いちじょう〕法華経ひろまりなんと覚へ候。】
必ず、法華経が広まると確信する事ができるのです。

【悪は多けれども一善にかつ事なし。】
悪は、多いけれども、一善に勝つことは、ないのです。

【譬へば多くの火あつまれども一水にはき〔消〕ゑぬ。】
たとえば、多くの火が集まっても、一つの水で消えるようなものなのです。

【此の一門も又かくのごとし。】
この一門も、また同じなのです。

【其の上貴辺は、多年とし〔歳〕つ〔積〕もりて奉公】
そのうえ、あなたは、多年にわたって

【法華経にあつ〔篤〕くをはする上、】
法華経に仕える心が厚い上、

【今度はいかにもすぐれて御心ざし見えさせ給ふよし人々も申し候。】
この度は、まことに優れた志が見られると人々も言っています。

【又かれらも申し候。】
また、彼等も言っています。

【一々に承りて日天にも大神にも申し上げて候ぞ。】
そのことを詳しく、うかがって、日天にも天照太神にも申し上げております。


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