御書研鑚の集い 御書研鑽資料
南条時光御息文 45 上野殿御返事
【上野殿御返事 弘安四年九月二〇日 六〇歳】上野殿御返事 弘安4年9月20日 60歳御作
【いゑ〔家〕のいも〔芋〕一駄・ごばう〔牛蒡〕一づと〔苞〕・大根六本。】
里芋一駄、ごぼう一苞〔つと〕、大根六本を頂きました。
【いもは石のごとし、ごばう〔牛蒡〕は大牛の角のごとし。】
芋は、石のように中身が詰まっていて、ゴボウは、大きな牛の角のようであり、
【大根は大仏堂の大くぎのごとし。】
大根は、大仏堂の大釘のようです。
【あぢわひは忉利天〔とうりてん〕の甘露〔かんろ〕のごとし。】
その味は、忉利天〔とうりてん〕の甘露のようです。
【石を金〔こがね〕にかうる国もあり、土をこめ〔米〕にうるところもあり。】
石を金と換える国もあり、土を代金に米を売る所もあります。
【千金の金をもてる者も】
千金の金〔こがね〕を持っている者であっても、
【う〔飢〕えてし〔死〕ぬ、】
食べ物が無ければ、飢えて死ぬのです。
【一飯をつと〔苞〕につゝめる者にこれをと〔劣〕れり。】
千金の金〔こがね〕を持つ者も、一食の飯を器に包んだ者に劣るのです。
【経に云はく「う〔飢〕えたるよ〔世〕にはよね〔米〕たっと〔尊〕し」云云。】
経文には「飢えた世には、米は、貴重である」と説かれています。
【一切の事は国により時による事なり。】
すべての事は、国により、時によるのです。
【仏法は此の道理をわきまうべきにて候。】
仏法を行ずる者は、この道理を理解すべきなのです。
【又々申すべし。恐々謹言。】
またまた、申し上げましょう。恐れながら謹んで申し上げます。
【弘安四年九月廿日 日蓮花押】
弘安4年9月20日 日蓮花押
【上野殿御返事】
上野殿御返事