御書研鑚の集い 御書研鑽資料
南条時光御息文 16 本尊供養御書
【本尊供養御書 建治二年一二月 五五歳】本尊供養御書 建治2年12月 55歳御作
【法華経御本尊御供養の御僧膳料〔そうぜんりょう〕の】
法華経の御本尊への御供養の御僧膳料として
【米一駄・蹲鴟〔いものかしら〕一駄〔だ〕送り給〔た〕び候ひ畢〔おわ〕んぬ。】
米を一駄と、里芋を一駄を送って頂きました。
【法華経の文字〔もんじ〕は六万九千三百八十四字、】
法華経は、69384の文字で書かれており、
【一々の文字は我等が目には黒き文字と見え候へども】
その一つ一つの文字は、私達の目には、黒い文字としか見えませんが、
【仏の御眼には一々に皆御仏なり。】
仏の眼には、一つ一つの文字が、みな御仏〔みほとけ〕と映るのです。
【譬へば金粟〔こんぞく〕王と申せし国王は沙〔いさご〕を金〔こがね〕となし、】
譬えば、金粟〔こんぞく〕王と言う国王は、砂を金に変え、
【釈摩男〔しゃくまなん〕と申せし人は石を珠と成し給ふ。】
釈摩男〔しゃくまなん〕と言う人は、石を宝珠にしました。
【玉泉に入りぬる木は瑠璃〔るり〕と成る。】
玉泉に入った木は、瑠璃〔るり〕となり、
【大海に入りぬる水は皆鹹〔しおはゆ〕し。】
大海に入った水は、すべて塩からく、
【須弥山〔しゅみせん〕に近づく鳥は金色となるなり。】
須弥山に近づく鳥は、金色となり、
【阿伽陀薬〔あかだやく〕は毒を薬となす。】
阿伽陀薬〔あかだやく〕は、毒を薬となし、
【法華経の不思議も又是くの如し。凡夫を仏に成し給ふ。】
法華経の不思議な力も、また同様なのであり、凡夫を仏に成すのです。
【蕪〔かぶら〕は鶉〔うずら〕となり山の芋はうなぎとなる。】
カブは、ウズラとなり、山芋は、ウナギとなります。
【世間の不思議以て是くの如し。】
世間の不思議でさえ、このようであるのです。
【何に況んや法華経の御力をや。】
ましてや法華経の不思議さは、なおさらなのです。
【犀〔さい〕の角を身に帯すれば大海に入るに水身〔み〕を去る事五尺、】
サイの角を身につけていると大海に入っても、水は、身から五尺はなれ、
【栴檀と申す香を身にぬれば大火に入るに焼けることなし。】
栴檀と言う香を身に塗ると、大火に入っても焼けることがないと言われています。
【法華経を持ちまいらせぬれば八寒地獄の水にもぬれず】
法華経を持〔たも〕つならば、八寒地獄の水にも濡れることなく、
【八熱地獄の大火にも焼けず。法華経の第七に云はく】
八熱地獄の大火にも焼けないのです。法華経第七巻の薬王菩薩本事品には、
【「火も焼くこと能〔あた〕はず水も漂〔ただよ〕はすこと能はず」等云云。】
「火も焼くことができず、水も漂わすことができない」と説かれています。
【事多しと申せども年せま〔迫〕り】
書きたいことは多くありますが、歳の瀬も迫り、
【御使ひ急ぎ候へば筆を留〔とど〕め候ひ畢んぬ。】
使いの者も急いでいるので筆を留め置くことに致します。
【日蓮花押】
日蓮花押
【南条平七郎殿御返事】
南条平七郎殿御返事